3つ数えろ! ― 『P&G式 伝える技術 徹底する力』 高田誠 著

P&G式伝える技術 徹底する力―コミュニケーションが170年の成長を支える (朝日新書)

P&G式伝える技術 徹底する力―コミュニケーションが170年の成長を支える (朝日新書)

出典を忘れてしまったのだが
「人気ランキングでは分からない、就職カウンセラーが大学生に薦めるいい会社」というのに
P&Gとリクルートの名前があがっていた。

共に、社員に仕事の力をちゃんとつけてくれる会社、ということらしい。
だから、仮に転職や独立を考えたときも有利である、と。

一方で、リクルートは、ある世代以上にはどうしても
リクルート事件」のイメージがあって、親が反対するとか
P&Gは「言うても洗剤とかシャンプーの会社でしょ?」ということで
女子はともかく男子学生の心には響かないところがある、とか
いろいろあって、
いま1つ「就職人気ランキング」の上位には
あがってきにくい、ということらしい。

この両社の出身者というのは、ビジネス書の世界でも、著者としてよく見かける気がする。
で、その内容も、コンサルさんのような頭で考えた上っ面な知識(ちょっと言いすぎ?)ではなくて
地に足着いてる実務感が強い気がする。
ってか、実際の仕事でやってきたことを書いているからだろうな、それは。

というわけで、久しぶりに、ある種ビジネス本っぽいビジネス本。
『P&G式 伝える技術 徹底する力』 高田誠 著 朝日新聞出版

著者は同社の元・広報渉外担当課長。
で、同社が新入社員に教えていることとか、考え方とかを述べましょう、という
まあ、ありがちっちゃありがちな本だが。

まあ内容はいろいろあるんだが、やはり一押しは帯でも強調してる「3つにまとめる」というところかな。

新入社員には「物事は3つにまとめて報告しろ」というのを徹底させるのだそうな。
たとえば
1)今日、子供が熱を出したので、お休みさせてください
2)本日の打ち合わせの件は○○さんに連絡して任せてあります
3)明日は出勤できると思います
でもいいし

1)製品の売上、販売量の推移は事前の予測どおりで。
2)商品の特徴がターゲットに明確に伝わっていると思われます
3)リピート購入が始まりますので、来週が重要です
でもいい。
この3つの構成は、「背景、結論、理由」だったり「背景、アクション、今後の展望」だったり、場合によっていろいろで、とにかく「3つにまとめる」ことが重要なんだそうな。
で、3つである理由というのも、特に論理的に説明できるわけではなく、
要するに「座りがいいから」ということらしい。

でも、分かる気がするな、この、3がバランスがいい、という感覚は。

余談ながら、阿刀田高がエッセイで「評論家になる方法」というのを書いていたのを、読んだ記憶がある。
そのコツは、とにかく、なにか聞かれたら、とりあえず「それには3つのポイントがあると思います」と答えるのだ。
で、「まず1つ目は・・・」ととりあえず思いついたことを言う。
その間に次に言うことを考えて、以下、ポイント3までしゃべるのだ。
そうすっと、なんだか、「何でも整理して説明できる評論家」に見せられる、というのだ。
これも結局、同じ話だろう。

他にも、書類は必ず一行目に目的を明確に表記する、とか「Consumer is Boss(消費者がボスである)」ことを徹底するとか、
いろいろあるのだが、
どれも「地に足着いてる感」はあるな。
リクツはともかく「こうする」が、明確。
で、業種依存じゃなくて、いろんなところで使える感じもあるし。

なおP&Gは社員のジェネラリスト志向というのが無く、マーケティングならマーケティング、経理なら経理、人事なら人事と、それぞれの部署でプロフェッショナルになることを求める会社だそうである。
そのなかで普遍的に使われているルール、ということであれば、普遍的なのも当然かもしれない。

というけで、今回の日記のポイントを改めて3つにまとめてみようかとも思ったが、
それほどの内容でもないし、まとめても結局、これまでの記述と重複するだけなので、
やめることにします。

ではでは。