読書 歴史

“万歳”にみる“伝統”の虚構性と変容について ― 『ミカドの肖像』(猪瀬直樹著)をてがかりに

万歳三唱という習慣があって、たとえば現代では政治家の人なんかがお好きで、衆議院の解散が宣言されたときとか、当選したときなんかによくやっている。ニュースなんかを見ていると、たとえば韓国なんかでも「万歳(マンセー)」を叫んでたりするわけで、な…

「政治的に正しい」ことをいっても解決策にはならないということ − 『私家版・ユダヤ文化論』内田樹 著

この週末に、今回取り上げる本の著者、内田樹氏の講演会を聞く機会を得た。 主な内容は、メディア論だったのだが、その最後、あらかじめ聴講者から集められた質問に内田氏が答えるところで、ちょっと面白い質問があった。 曰く、「内田さんの本は、どうして…

本当の「伝統」について考える ― 『武士道の逆襲』菅野覚明著

がんばれニッポン! というわけでオリンピックが開幕したものの、どうやら「ニッポンのお家芸」である柔道のメダルの数が伸び悩み、もやもやした気分の方も多いのではないかと思う。まあ、さすがに柔道でメダルが取れなかったからといって「今どきの選手は大…

浜の真砂は尽きるとも、世に○○のタネは・・・ ― 『陰謀史観』秦郁彦 著

どうやら、このブログの中の人は、陰謀論というやつに興味があるらしい。 気が付くと、何冊かその種の本を持っている。といっても、別に世界はユダヤとロックフェラーとフリーメイソンに牛耳られていて、民主党は“特ア”に操られた売国奴の集団で・・・などと…

人は科学的真実よりロマンやら国家の威信やらが大事な生き物なのかもしれない ― 『万里の長城は月から見えるの?』武田雅哉著

久しぶりに書店で「タイトル買い」である。ま、本当にタイトルだけみて買ったわけではなく、ぺらぺらとめくってはみたわけだが。万里の長城は月から見えるの?作者: 武田雅哉出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/10/12メディア: 単行本 クリック: 14回この商…

構造的にいって、日本で革命や内乱は起こらない、のか―『自爆する若者たち』 グナル・ハインゾーン著

実はあまり読み込んでない本について書いてしまうのだが、なぜかといえば、この本が提示する基本的な概念が、そもそも極めて示唆的なので、まずは、そこからまとめてしまおうと思ったわけだ。最近、こんな議論がある。日本の若者たちは、なぜ、怒りを爆発さ…

「市場経済」の故郷はどこだ −『江戸商人の経営』 鈴木浩三 著

このブログの中の人は、今は京都に在住・在勤なわけだが、前職で働いていた一時期、大阪の堂島から中之島を見下ろすあたりの事務所に出勤していたことがあった。堂島というのは、江戸時代には「堂島米会所」があったところで、全国から船に載せられて集めら…

神話解体の序曲 ― 『日本海軍 400時間の証言』 NHKスペシャル取材班

日本海軍400時間の証言―軍令部・参謀たちが語った敗戦作者: NHKスペシャル取材班出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2011/07メディア: 単行本購入: 3人 クリック: 45回この商品を含むブログ (19件) を見るむかし陸軍いま財務省、とか、むかし陸軍いま霞ヶ関、と…