読書 社会

“万歳”にみる“伝統”の虚構性と変容について ― 『ミカドの肖像』(猪瀬直樹著)をてがかりに

万歳三唱という習慣があって、たとえば現代では政治家の人なんかがお好きで、衆議院の解散が宣言されたときとか、当選したときなんかによくやっている。ニュースなんかを見ていると、たとえば韓国なんかでも「万歳(マンセー)」を叫んでたりするわけで、な…

明るい未来か? 大変な世の中か? ― 『ワーク・シフト』リンダ・グラットン著

何の自慢にもならない話なのだが、このブログの中の人は、複数回の転職を繰り返している。 これは、なんだかんだいって終身雇用が「普通」ないしは「理想」と考えられがちな今の日本の社会にあっては珍しいことのようで、ごくまれに、なんだか「凄いこと」の…

ネットという「公共圏」に膨大な情報が流れる時代について、取りとめもなく考えてみた ― 『パブリック』 ジェフ・ジャービス著

これが、どの程度、一般的に知られている話題なのかはよく分からない。 ヘビーなネットユーザーの方ならば、先刻ご承知の話題だろうし、そうでない方の中には「えっ! そんなことになっているの?」と驚く方も、いるかもしれない。 このブログを読みに来てく…

憎悪と単純化が何かを解決することはない ― 『ネットと愛国――在特会の「闇」を追いかけて』 安田浩一著

極めて微妙な問題をはらんでいるテーマの本なので、果たしてこれをネタに書くべきかどうか、一瞬迷ったのだけれど、やっぱり傑作ノンフィクションであることは間違いないので、やっぱりこれでいこう、と思ったわけだ。 余計な誤解を招かなように、書いていき…

まずは一つの立場から学んでみようと思ったわけで ―『「反原発」の不都合な真実』 藤沢数希著

今回取上げる本は、amazonでは今日現在、「通常10〜14日以内に発送します」と表示されている。 ということは、なかなかに注文が殺到していて、在庫が払底している、ということである。 このブログの中の人は、都内の某書店で手に入れたわけですが。「反原発…

構造的にいって、日本で革命や内乱は起こらない、のか―『自爆する若者たち』 グナル・ハインゾーン著

実はあまり読み込んでない本について書いてしまうのだが、なぜかといえば、この本が提示する基本的な概念が、そもそも極めて示唆的なので、まずは、そこからまとめてしまおうと思ったわけだ。最近、こんな議論がある。日本の若者たちは、なぜ、怒りを爆発さ…

歴史や道徳を教え込んだって、「かつての素晴らしい日本」は取り戻せないんじゃね?−『日本の「安心」はなぜ、消えたのか』 山岸俊男著

ブックオフをうろついていたら、帯の『「武士道」「品格」が日本をダメにする!』という文言が目に留まって購入した一冊。 けっこう「あたり」でした。こういうのは、うれしいですね。日本の「安心」はなぜ、消えたのか―社会心理学から見た現代日本の問題点…

「屁をこいた坊さん」が僕に思い出させてくれたこと − 『全国アホ・バカ分布考』 松本修著

ことの発端は、なにげなくつけていたテレビで流れていた、関西ローカルのバラエティ番組だったのである。吉本の芸人がわらわらと集ってダラダラとやっているその番組で、「へべれけによっている人に限って、なぜ『全然酔うてないで!』というのか」、という…

デブになるのは誰のせい? ―『アメリカ人はなぜ肥るのか』 猪瀬聖 著

アメリカ人はなぜ肥るのか (日経プレミアシリーズ)作者: 猪瀬聖出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社発売日: 2010/11/10メディア: 新書購入: 3人 クリック: 17回この商品を含むブログ (12件) を見るカービーダンスというのが流行っているらしい。 いわゆる…

役人の数は適切か? ― 『パーキンソンの法則』 C.N. パーキンソン 著

パーキンソンの法則 (至誠堂選書)作者: C.N.パーキンソン,森永晴彦出版社/メーカー: 至誠堂発売日: 1996/11メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 43回この商品を含むブログ (28件) を見る統計局のホームページによれば、日本の国家公務員の数は29万2405人だ…

ある男の野望が生み出したもの − 『原発・正力・CIA』 有馬哲夫 著

原発・正力・CIA―機密文書で読む昭和裏面史 (新潮新書)作者: 有馬哲夫出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2008/02メディア: 新書購入: 23人 クリック: 403回この商品を含むブログ (74件) を見る福島の原発の状況が、ずるずると実態の悪化しているように見える今…