読書 人物

普通の物差しでは測れない男について ―― 『トラオ 徳田虎雄 不随の病院王』青木理著

出色のノンフィクションである。「選挙は第4次産業」。 徳之島を中心に、奄美群島地区では昔から言われていたことらしく、実際、このブログの中の人も、20年くらい前に、同地出身の人に「実際まあ、そういわれてるよね」という話を聞いたことがある。 まあ、…

渡邉美樹氏のサクセスストーリーに注目が集まり始めた頃 ―― 高杉良著『青年社長』について

このところ、一部週刊誌とネット界隈で、やたらとこの本の主人公のお名前を拝見するような気がするので、さっと読み返してみようかと思ったわけである。 主人公の名は 渡邉美樹。青年社長〈上〉 (角川文庫)作者: 高杉良出版社/メーカー: 角川書店発売日: 200…

写真は真実を写すのか ―― 『キャパの十字架』 沢木耕太郎著

「戦場カメラマン」というと今の日本では、ちょっと前までテレビによく出ていた“あの人”を思い浮かべてしまうのかもしれないけれど、世界で史上もっとも有名な戦場カメラマン、といえば、今年生誕100年を迎えた「ロバート・キャパ」ということになるのだろう…

プロフェッショナリズムということ ― 『たくらむ技術』 加地倫三著

この本の著者名をみて、ピンとこられた人は、それなりに地上波テレビのバラエティ番組をご覧になっている人だろう。その、あのテレ朝の加持プロデューサーである。 年末の『アメトーーク! 5時間スペシャル』 をごらんになっていれば、この人が最終盤で江頭2…

ブームと「終わコン」が作られる過程について ― 『「有名人になる」ということ』勝間和代著

以前からリアルでおつきあいがあって、このブログを読んでいる方に、「『あの本』についてはブログかかないの?」と聞かれてしまいました。このブログの中の人は、この人の著書や言動について結構批判的(ととれるよう)な言辞を繰り返していたので、果たし…

権力と組織が腐っていく様子は、内視鏡で観察できないのかなあとか思ってみた ― 『解任』マイケル・ウッドフォード著

このブログの中の人も、なんだかんだいってそれなりの年齢なので、同世代の知人・友人と「人間ドックで胃カメラ飲んだ」云々などという話題で盛り上がってしまうことがある。 自分自身は、まだ飲んだことはないのだけれど。胃カメラ(内視鏡)というのは、戦…

ある「元美青年」の人生について ― 『渡邊恒夫 メディアと権力』 魚住昭 著

多分、本当に野球の好きな人、中でもドラゴンズファンおよびホークスファンの皆さんの中には、人事を巡る内紛でスポーツ新聞の紙面をジャックした読売巨人軍に対して、怒り心頭の方もおられるのではないかと思う。 いや、心中はお察しするけれど、個人的には…

飲食店は科学である ― 『おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ』 正垣正彦 著

おいしいから売れるのではない 売れているのがおいしい料理だ作者: 正垣泰彦,日経レストラン出版社/メーカー: 日経BP社発売日: 2011/07/25メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 89回この商品を含むブログ (10件) を見るイタリアン食べに行こうか? と人をさ…

尊敬に値する総理大臣がいた時代が、この国にもあったらしい ― 『危機の宰相』 沢木耕太郎 著

危機の宰相 (文春文庫)作者: 沢木耕太郎出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2008/11/07メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 32回この商品を含むブログ (26件) を見る「佐藤、池田総理、嘘だけ言うとさ」という(一部で)有名なフレーズがある。 これだけ見ると…

純粋な心について ― 『ボクは算数しか出来なかった』 小平邦彦 著

ボクは算数しか出来なかった (岩波現代文庫)作者: 小平邦彦出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2002/05/16メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 17回この商品を含むブログ (37件) を見るピュアな本なので、余計な前置きはナシで、ご紹介する。『ボクは算数しか…